プレミアムフライデーにおすすめ!都内近郊のアートスポット特集
目次
東京・六本木の人気美術館「森美術館」では、15周年記念展「カタストロフと美術のちから展」を開催中です。“大惨事”をテーマに2つのセクションに分かれて展示しています。それぞれのセクションの見どころポイントをご紹介します。
「六本木ヒルズ」と「森美術館」の15周年記念展
「六本木ヒルズ」と「森美術館」
観光スポットとしても人気のある複合施設「六本木ヒルズ」。その森タワー53Fに入っている「森美術館」は、2018年10月に15周年を迎えました。
期間ごとにさまざまな展示を行っており、多くの方々が足を運ぶ都内で人気の美術館です。
周年記念展
「森美術館」では節目となる周年イベントでは、全人類にとって普遍的なテーマを掲げてきました。2003年の開館記念展では“幸福”をテーマにした「ハピネス」展、2013年の10周年記念展では“愛”に着目した「LOVE展」を開催し大好評で幕を閉じました。
15周年は「カタストロフ(大惨事)」
2018年の15周年記念展は、「カタストロフと美術のちから展」を開催。“大惨事”という意味の「カタストロフ」をテーマに、さまざまな問題に対して美術が果たす役割について改めて問い直します。
現代美術のアーティスト40組の作品が集結
現代美術のベテランから注目の若手作家まで、40組のアーティストが「カタストロフ(大惨事)」をテーマにそれぞれの手法で表現した作品が集います。
現代美術のなかで最も権威ある祭典と言われる「ベネチア・ビエンナーレ」や「ドクメンタ」に参加したことのある、「トーマス・ヒルシュホーン」氏、「モナ・ハトゥム」氏なども作品を手がけました。
日本初公開となる作家もいるのでどんな作品が登場するのかお楽しみにしていてください。
セクションⅠ「美術は惨事をどのように描くのか―記録、再現、想像」
“惨事”をアートで表現
15周年記念展「カタストロフと美術のちから展」は、2つのセクションに分かれて展示されています。
セクションⅠでは「美術は惨事をどのように描くのか―記録、再現、想像」をテーマに、展示を構成。地震・津波などの“天災”から戦争などの“人災”、個人的な悲劇まで幅広いジャンルの“惨事”を表現しています。
さまざまな切り口で“惨事”を表現
表現方法も“写実・フィクション・抽象化”などさまざまな手法を使っています。目に見える惨事ばかりでなく、世界金融危機を引き起こしたバーチャル資本や、原子力発電所事故で露呈した放射能汚染など“目に見えない脅威”を可視化した作品も。
アートならではの切り口で“惨事”を描き、それぞれの作家ならではの視点で“惨事”について、未来へと語り継ごうとしています。
「トーマス・ヒルシュホーン:崩落」
「トーマス・ヒルシュホーン」氏が手がけた「崩落」は、2階建ての建物が崩落しているダイナミックな作品です。
“破壊”をテーマに本展のために作られました。瓦礫はダンボールなどで作られており、抽象性を感じることもできます。じっくりと鑑賞してくださいね。
「畠山直哉:「陸前高田2011」シリーズ」
岩手県出身の「畠山直哉」氏による、2011年の東日本大震災で被災した故郷である陸前高田市の風景を写した作品。
本展では2011年5月までに撮影された25点の写真が並びます。風化しつつある忘れてはならない大震災の光景が広がります。
「ミロスワフ・バウカ:石鹸の通路」
オレンジ色と白色の通路には、石鹸が塗布されています。ホロコーストによって多くのユダヤ人が犠牲となったポーランド出身の「ミロスワフ・バウカ」氏にとって、石鹸はさまざまな意味を持つ象徴的なもの。
新生児の体を洗うとき、死者の体を洗うときにも使われ、またガス室に送られるユダヤ人たちに手渡された「石鹸」は、“生と死”に関わる素材。やさしい石鹸の香りに包まれながら、「石鹸の通路」を歩いてみてくださいね。
「ヒワ・K:鐘」
イラク出身の作家「ヒワ・K」氏が展示する「鐘」の横にはその鐘が製作されたドキュメンタリー(イラクで回収した武器を溶かし、金属にする過程が描かれた様子、そして、その金属をイタリアの鐘工房に持ち込み、伝統的な手法で鐘を製作する映像)が流れています。
戦争では教会にある鐘などを供出し武器が作られますが、この「鐘」は逆のプロセスで作られています。戦争や平和について考えさせられる展示です。
セクションⅡ「破壊からの創造―美術のちから」
“再生・復興・より良い社会”をアートで表現
セクションⅡでは「破壊からの創造―美術のちから」をテーマに作品を展示。“惨事”が起きた後の“再生・復興・より良い社会”をアートで表現しています。
セクションⅠに比べると明るい色合いのものが多いのが特徴です。美術は医学の薬や手術と異なり、即効性はないかもしれませんが、アーティストの豊かな発想で生み出された作品は、社会に対する長期的な治療薬になるかもしれません。
“負を正に転ずる「美術のちから」”に着目して、その可能性を問いかけています。
「スウーン:メデイア」
巨大インスタレーションの「メデイア」は、作家「スウーン」氏自身の“家族”が主題です。近年肉親が他界したことをきっかけに、家庭のなかにあったさまざまな問題やトラウマと向き合いながらこの作品を創り出したそう。
作品の横にある電話の受話器からは小さく音が流れ出ているので、耳を澄まして聞いてみてくださいね。静かに音に集中しながら作品を眺めましょう。
「坂茂:紙の大聖堂(ニュージーランド、クライストチャーチ)模型 1:10」
「坂茂」氏の「紙の大聖堂(ニュージーランド、クライストチャーチ)模型 1:10」。実際に建てた建築物の10分の1スケール模型の中に入ることができるアート作品です。模型の中から外の世界を眺める不思議体験ができます。
「オノ・ヨーコ」氏が手がける参加型アート
参加型アートについて
世界的アーティスト「ジョン・レノン」氏の妻「オノ・ヨーコ」氏が手がけた作品「色を加えるペインティング(難民船)」。
「オノ・ヨーコ」氏が用意したのは、真っ白な空間に船があるだけの作品で、鑑賞者が青・白・黒のクレヨンで壁や床、船にメッセージを描くことにより、作品が完成する参加型アートです。
本展に訪れて、作品を鑑賞した後はこちらに思いを描いてみてはいかがでしょうか。
屋外展示「戦争は終わる」
屋外には「WAR IS OVER(戦争は終わる)」と描かれた作品も展示されています。ベトナム戦争が激化していた1969年に「ジョン・レノン」氏と「オノ・ヨーコ」氏が始めたプロジェクトです。
2019年1月20日(日)まで「六本木ヒルズ」の敷地内にて展示しているので、探してみてくださいね。
関連プログラムやオリジナルグッズもお見逃しなく
関連プログラム
「森美術館」での展示だけではなく、学びを深めるシンポジウム・トークセッション・ギャラリートーク・ワークショップなど、さまざまな関連プログラムも催します。気になる方はチェックしてみてくださいね。
オリジナルグッズ
「カタストロフと美術のちから展」では、オリジナルグッズの販売もあります。インテリアにぴったりな「ツールボックス(3,456円)」や、「軍手(540円)」、「サーモス ケータイマグ(3,996円)」など。
おすすめは「MODECO(モデコ)『Fireman(ファイヤーマン)』のトートバッグ(16,200円)」です。実際に使われていた消防服を再利用したカバンで、火災現場や被災現場で染みついたすすの汚れやダメージをデザインのアクセントとして活かしています。
今度の休日はアートにふれてみて
「カタストロフと美術のちから展」を訪れれば、「カタストロフ(大惨事)」をきっとさまざまな視点で捉えることになるでしょう。
普段あまりアートにふれる機会のない方にもおすすめの展覧会です。今度の休日はアートにふれてみませんか。
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